これはジョーク!?:ヨーグルトを落とさせてしまった
"Ich habe einen Joghurt fallen gelassen!"
"Er war nicht mehr haltbar."
「あのねえ、ヨーグルトを落とさせてしまったの。
止めようもなかったからなのよ」
以上、たったの2行だけのドイツ語ジョーク、らしいです。
どこがジョークなんですかねえ。
日本語に訳してしまったら全然、おかしくない、下手くそなジョークになってしまった。すいません。
落とさせてしまった、と持って回ったような訳出はドイツ語文の構造をわざと忠実に移植しようとしたからに過ぎませんが、普通なら、落としてしまった、と表現しておく筈でしょう?
ドイツ語はドイツ語で理解しましょう、とつい言いたくもなってしまいそうですが、ドイツ語だったら笑いを誘う、といったようなジョークでも何でもないとわたしは思います。
人それぞれかも知れませんね。まあ、ちょっとクスッとなるかも、もしかしたら。
落下するヨーグルトの落下速度が止めようとする反応速度よりも速かったので止めようもなかったと言い訳しているかのように響きますよね。
言い訳の論理として、どちらのドイツ語文が原因で、どちらが結果なのか。
第一文が原因なのか、それとも、むしろ第二文が原因で第一文が結果報告となっているのか。
それはそうと、このドイツ語ジョークはドイツ語文法事項(ドイツ語会話・作文)の一つを学び直すための機会を提供しているのでしょうか。
* *
以下はちょっとしたドイツ語の使い方について蘊蓄を傾けます。
Joghurt(M): ドイツ語ではこのように綴るのですね、ヨーグルト。
因みに”男性”ですね。DER Joghurt 。でもオーストリアでは”中性”だそうな。DAS Joghurt。
英語でも同じような綴り方をしてたようですが、ちょっと確信が持てません。だからちょっとググってみましたら、Yoghurt といった風に Y で始まっています。
”h” なしの Yogurt という綴りもあるようです。
Y で始まっている単語ということで、Yoga を思い出しました。が、ドイツ語では Joga とも綴るようです。Yoga という綴りもドイツ語では通用しているようです。
ヨーグルトとはトルコ語から来ている、そうな。
habe fallen gelassen : gelassen は lassen の過去分詞であることはご存知でしょう。
いわゆる使役動詞ということで、何々をやらせる、といった意味が込められていますよね。
fallen lassen と動詞2つを使って、何々を落とさせてしまう、つまり落としてしまう、ということですが、使役の意味を込めようとしてちょっと苦しい表現もしましたが、要するにここでは自分Ichの使役的な意思で落としてしまう。
einen Joghurt fallen lassen ヨーグルトを一つ落としてしまう
* *
さて、問題が一つあります。ドイツ語文法的に正しいのかどうなのか。
habe gelassen となっていれば、何ら異議は浮かんで来ないでしょうが、
ここでは habe fallen gelassen となっている。
ドイツ語文法に詳しい方、あれっ、と思いましたか、何か気が付きましたか。
2つの動詞が一緒に使われる、特に過去分詞も一緒になって使われる場合、
habe fallen lassen と言ったり書いたりするのではなかったのではないでしょうか。
このジョーク、誰が書いたのかは知りませんが、その誰かは自分のドイツ語は正しく書いたと思っていたのでしょうか、それも分かりませんが、インターネット上に出回っているドイツ語文になっています。
普通は、Ich habe einen Johgurt fallen lassen. と表記するのが通常なのではないでしょうか!?
わたし自身はそのように lassen を使った動詞のドイツ語文作成上の注意を読んだり見たり聞いたりした覚えがありますので、ちょっと戸惑っている最中です。
インターネット上を目を皿のようにして検索し続けていたら、
Ich habe einen Johgurt fallen lassen。というドイツ語文が紹介されているサイトも見出しましたよ。
さてどちらが正しいのでしょうか、
「どっちも正しい」といった答えを出す人だって出てくるでしょうか。
とっちかはっきりとさせないと今晩安心して寝られなくなるという人も出てくるでしょうか。
lassen という動詞だけでなく、他にも例えば sehen という動詞と別の動詞を一緒に使った場合、其の場合にも同じような現象”が見受けられるようです。
「私は彼がやって来るのを見た。」
ドイツ語訳はどうなりますか?
Ich habe ihn kommen gesehen.
それとも
Ich habe ihn kommen sehen.
でしょうか?
ドイツ語文法上、わたしが云々していることをドイツ語では
Ersatzinfiniv ということをテーマにしているのだそうです。
ドイツ語文法の初級事項なのか、中級事項なのか、上級事項なのか、どうなのかは分かりませんが、不定詞が2つ一緒に使われる際に往々にして出現する現象のようです。ということで結構な議論がインターネット上でも垣間見れるようです。
参照例:https://www.deutsch-als-fremdsprache.de/austausch/forum/read.php?4,99090
誰が言っていることが正しいのでしょうか。使われている動詞が何なのかによっても正誤が分かれるかのようでもあるし、結局は誰かがため息を付きながら漏らすこの言い草に落ち着いてしまうのでしょうか。
"Deutsch ist eine schwere Sprache."
* *
このドイツ語のジョーク、どこが面白いというのでしょうか!?
二重に解釈出来るような、ある”ドイツ語単語”が文中にあるからからだ、と言えましょうか。
"Ich habe einen Joghurt fallen lassen!"
"Er war nicht mehr haltbar."
「あのねえ、ヨーグルトを落としてしまったわよ。だって賞味期限がとっくに切れていたからなの」
haltbar
このドイツ語単語の意味が二重の取れるかのように使われているからちょっと面白いのかも、でしょうかね。
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